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特注鐔「桜小透鐔」

金工担当の竹舟です。

特注の桜小透鐔が完成しました。

桜小透鐔(表)
(表)
桜小透鐔(裏)
(裏)


1.甲冑師鐔や刀匠鐔との違い

甲冑師鐔や刀匠鐔のように、小さな透かし一つだけのシンプルなデザインの鐔です。

ただし、それらの鐔との違いは厚みです。

甲冑師や刀匠は当然、鐔作りが本業ではありません。

鐔の製作は、本業の甲冑・刀身の製作の時間の合間に作ったものだと言われています。

だから、シンプルなデザインで手間のかかっていないものが多いのですが、もう一つの特徴は鐔工の作よりもかなり薄めの作られていることです。

時代によっても異なりますが、鐔工の作は平均4mm厚程で、薄いものでも3mm厚、分厚いものだと6mm厚近いものもあります。

それに対して甲冑師鐔刀匠鐔は2mm程度しかありません。

甲冑師鐔で耳(縁の部分)が分厚くなっているものがありますが、耳が薄い鐔は鯉口を切るときなどの手当たりの感触が良くないのでこの部分だけ厚くしたりしたものです。


厚さが異なる理由は、製作時期の流行、シンプルなデザインのままでも重量が増え過ぎないようにするため等が考えられますが、あくまで余技の作であるという理由も大きいと思います。

分厚い鐔は当然ながら多くの材料を要し、透かしなどの加工をする場合は薄いものよりも時間と手間がかかります。

本業の片手間の作業で、そこまでの時間と手間はかけられないでしょう。


さて、話を戻して今作の鐔です。

デザインは甲冑師鐔や刀匠鐔のようなシンプルな小透かしですが、特徴はその厚みです。

桜小透鐔(耳)

なんと5mm厚もあります。

甲冑師鐔刀匠鐔が2mm厚程度ですから、2倍ほども分厚いです。

重量は驚きの約170g!

これをつければ大抵の刀は手元重心になるでしょう。

現代鐔ならではの特徴ある鐔になりました。



2.斑肌-表面構造-

さて、美術品・骨董品としての甲冑師鐔刀匠鐔の見どころは、地金の鍛えにあると言われています。

小透かしのため地金部分が多く、鍛えの構造もわかりやすくなっています。

もちろんシンプルに完成されたデザインの透かしも見事ですが、技術的には地金の鍛えの方が洗練されたものであると言えます。

残念ながらしなの鍔工房は鍛鉄場を所有していないため、地金は購入品となっています。

今回使用した地金も購入品であり、また、重ね鍛えしたものではないため、単純に錆付けをしたのでは甲冑師鐔刀匠鐔のような鍛えの妙を表現できません。


そこで、錆付けによって肌の表現を工夫しました。

光沢感のある薄めの錆付けの下、地金全体に細かい斑模様が広がっています。

桜小透鐔(肌)

このような肌の鐔は珍しいと思います。


この斑模様は、よく見ていただければ分かりますが、わずかな凹みになっています。

この凹みを作るのに一工夫がありました。

まず鐔全体を薄い酸化被膜で包み、その後で意図的に悪錆を発生させます。

酸化被膜で保護されているため、全体一様に悪錆は発生せず、電気的に偏りの発生した局所で赤錆が発生します。

そのため、悪錆が飛び地のように発生します。

ある程度悪錆を育ててから金属ブラシで酸化被膜と悪錆を全て磨き落とすと、悪錆による腐食で斑模様の肌が完成します。

そうしてできたものに薄めの錆付けを施して完成しました。



3.まとめ

シンプルな鐔というのはごまかしがきかない分、緊張感があります。

また、シンプルなデザインのどこで個性を表現するのかというのは、個性をどこまで凝縮できるのかという、ある意味製作者の作家性につながると思います。

剣士の皆さんはどこで自分の剣風を表現していますか?

鐔の中にそれをゆだねてみるのはいかがでしょうか?


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